僕たちの棲む世界

この世界はなんなのかを知る。自分は何者なのかを知る。

誠実さや優しさが仇になる世界

人間関係にずっと苦しんできた私は、この歳になるまで、どんな相手にも丁寧に、誠実に、優しく接するよう心がけてきた。

 

相手を傷つけず、逆らわず、他人の期待には最大限、応えられるよう努力する。それが他人と仲良くする基本だと。

 

「誰とでも仲良くなって、仲良しになろう」って子供の頃教えられて育った。(他人にとって、社会にとって)良い人になろうと教育されて育ってきた。

 

また家庭でも親に気に入られるように嫌われないよう自分を殺して、育ちました。親の言うことを聞かないと、ひどい目に合わされたから。

 

そうして今の自分が出来上がった。

 

他人と争わない。何事も他人を優先。誠実に、他人に優しく、他人に嫌われないように、他人に嫌われるなら自分を犠牲にする。そういう他人との接し方が、染み付いて離れない。

 

しかし、心の底から、他人に対してそう思っているかと云うと、真逆で、心のなかはドロドロとした他人に対する敵対心や嫉妬、恨みつらみが渦巻いてた。そんな感情を押し殺してるから尚更、そんなものが心の中にどんどん蓄積されていく。

 

ホンネを隠して、ヘラヘラ笑って、争いを避け、自分を主張せず、何事にも抵抗しない身についた生き方。

 

そんな生き方が自分を不幸のどん底に叩き落してるんだと、今になってようやく気がついた。

 

人の心は自分が思ってるほど、キレイなものではない。

 

よほどの達観者でなければ、相手が自分より上か下かを判断してしまう。同等な存在とは思わず、コイツは自分より上なのか下なのかを見極めようとする。

 

そんなことはないって思うかもしれないが、これは人間の心理とはそいうふうにできている。意識してなくとも、無意識にそうしてる。

 

みんな平等でみんな同じだなんていうのはキレイゴトでしかない。世の中は不条理でできている。

 

そんな人間の心理を知らずに、どんな相手であっても、丁寧に誠実に扱えば、それに応えてくれると、相手の言うことを尊重し、尊敬し、言うことを聞けば、自分に対してもそうしてくれるのが当たり前だと勘違いしたと思う。

 

 

でもそれは完全に間違いでした。

 

 

こういう考え方で他人や社会と接する結果、起こりうる不幸なことが2つある。

 

 

一つは、他人はそういった態度を誠実と捉えずに、卑屈だと捉えること。こちらのことを同等だと思わずに下だと判断してしまうこと。認識してしまうこと。

 

そう判断されてしまうと、こちらへの扱いが雑になる。最悪、相手に自覚があるなしに関わらず、体の良い奴隷、便利な人間、道具みないに扱われてしまう。

 

平気で約束を破る人がそうだ。しかも自分が約束を破るのはいいが、こっちが約束を破るのは許せない。その時点で友達(同等な存在)だと思われていないんだ。そのことに気が付かねばいけない。

 

ちょっとしたことでこっちを責めてきて、自分はこちらを傷つけることを平気でやってくる。相手と争いたくないからすぐに「ごめん」と言ってしまう。どう考えても相手が悪い場合でも謝ってしまう。

 

「自分の非を認められない人間になるな、謝らない人間になるな」と教育されてきた賜物だ。

 

しかし、こうなると相手から、たとえ何をしても簡単に謝るから、コイツには何をやっても何を言っても大丈夫なんだって認識されてしまう。だからめちゃくちゃな扱いをされる。

 

「友達だから当然だよね」と言いつつ、自分の都合で振り回す、面倒事を押し付ける、憂さ晴らしの道具にする。

 

たいして仲が良くもない人から「金貸して」なんて平然と言われるのは、相手に下に見られ、馬鹿にされてる証拠だ。

 

 

そんなこと言う相手に問題があるのは当然だけれども、そんなことを平気で言われる自分の在り方にも問題がある。

それだけ他人にナメられてしまう存在ということだ。

 

 

ネットワークビジネスとかに誘われ易い人間もそうだ。コイツなら簡単に騙されてくれるだろう、養分になってくれるだろうって思われてんだ。

 

 

2つ目は、自分の中にどんどん毒をためていくということだ。相手にひどい扱いを受けても抵抗できない。抗えない。

 

ニコニコとした表情とはウラハラに心のなかでは相手に対する憎悪や批判の気持ちがどんどん蓄積されていく。相手が信用できなくなる。

 

でもそれを表にだすことはできない。それは相手を不快にすることだから。相手に嫌われることだから。「自分は人に親切で優しく心の広い人間である」にあらねばならないという心情に反することだから。

 

でも、人の精神はそんな毒にいつまでも耐えれるものではない。いつかは限界が来て爆発する。そして人間関係が破綻する。

 

そういうことを繰り返していくうちにどんどん人間不信に陥って、自分は誰とも仲良くなれない。誰とも上手くやっていけない。

 

どうして誠実に素直に接してるのにわかってもらえないんだ?何が悪いんだ?わからない。どうしていいかわからないと、だんだと病んでいく。

 

 

だから誰にでも誠実で、優しく、丁寧に接するのは止めよ。

 

人間の心理に過剰に期待するな。妄想的な理想を抱くな。人の心なんてそんなに成熟しているものではない。

 

誠実であれば、誠意をつくせば、応えてくれるなんて平和ボケの理想主義者の戯言だ。世の中はどこまで行っても世知辛い。人の心は醜い。それは自分自身を見ればよくわかることではないか。他人だって自分と同じさ。

 

 

人間に対する認識を変えよ。

 

 

自分を犠牲にして他人に尽くすな。すぐに謝るな。ひどい扱いをしてくる相手に抵抗し、抗議しろ。駄目なら人間関係を切れ。

 

結果として失う人間関係なら、終わってしまっても構わないではないか。自分の中に毒を残すよりも遥かにダメージが少ない。

 

ワガママ?自分勝手?それも結構ではないか。自分を殺して他人に取り入ろうとするよりマシだと思う。

 

自分の人間関係に対する考え方を根本から変えないと、地獄のような人間関係の中で死ぬまで苦しめられることになる。他人は変えられないから自分が変わっていくしか無い。限りある自分の人生を誰かに苦しめられて消費して行かないためにも。